なべとびすこのなすべきこと

やってみたいをやってみよう。短歌を中心にいろんなことをやっている歌人のブログ。

新企画「USJ吟行」

あけましておめでとうございます。

ほんとうは去年やったことの振り返りとかもしたくてたまらないのですが、今回は新企画の告知をしたいと思います。

構想はだいぶ前からあったのですが、ようやく開催します!

USJ吟行(ユーエスジェーぎんこう)」

大阪のユニバーサルスタジオジャパンで、アトラクションの待ち時間を利用して短歌を詠む会です。
USJのなかで気付いたこと、目に付いたもの、アトラクションに乗って思ったことなどなど…
いろんな気持ちを短歌という形にしましょう。

待ち時間を利用し、短歌を詠んで、発表しあい、互いにコメントを行います。
※それ以外は基本的にみんなでUSJを楽しむだけです。

3月4日(日)9:30 JR ユニバーサルシティ駅集合
閉園時間まで遊ぶか、その前に解散になるかは当日の体力と混み具合次第です。
遠方の方は途中離脱等もあるかと思うので、帰宅時間が決まっている方は事前にご連絡ください。

雨天決行
(※外のアトラクションがふつうに稼働するレベルであれば決行しますが、暴風雨の場合は検討し、中止の場合は早めにご連絡します。)

持ち物 筆記用具とお金
※イベント参加費は無料ですが、ユニバーサルスタジオジャパンへのチケット代、飲食費、お土産代等は実費です。
年間パスや格安チケット等をお持ちの方はご持参ください。
※雨天の場合はカッパ等をお持ちください

定員 8人程度

参加される方は、鍋ラボのTwitterアカウントのDM(@nabelab00)または、メール(nabelab00@gmail.com)宛に
USJ吟行参加希望の旨と、お名前(筆名)を記載の上、ご連絡ください。

普段短歌を詠んでいる方だけでなく、詠んでいないけど詠んでみたい!という方も、お気軽にご参加ください。

ちなみに、この日は遠方から
YUTRICKにも参加してくださった、たかはしりおこさんが来られます。
たかはしりおこさんに会いたい方も含め、たくさんのご応募お待ちしております!

短歌ワークショップネタ1「短歌DJ」

短歌を始めて4年目になりましたが、短歌のワークショップや短歌に軽く触れられるような遊びなんかを色んなところでやってきたので、これまでのネタを少しずつブログで紹介していこうと思います。

 

短歌のワークショップをやってみたい、アイスブレイクに短歌を取り入れたいという人は参考になるかもしれないので読んでみてください。

特に権利とかもないので、どんどん真似してもらっても大丈夫です!

 

でも、「短歌カードゲーム ミソヒトサジ」で遊ぶだけでもアイスブレイクになりますし、短歌のリズムも身について場も和むので、こちらもぜひ買ってみてください!

nabelab00.thebase.in

 

 

短歌ワークショップネタ1.

短歌DJ

 

 

<準備物>

歌集、短歌のフリーペーパーやZINEなど、たくさん短歌が載っている本をたくさん

(参加人数と同じ冊数は最低限必要)

 

じゃんけん、または希望者を募り、参加者から「リスナー」役を1人決めます。

残りはDJとなります。

 

リスナーは「ときめく歌」「怒っている歌」「夜に思い出したい歌」など、自分が読んでほしい短歌をリクエストします。

 

DJ役は用意している歌集を1冊手に取り、時間内に、リクエストに1番合う歌を選びます。

 

DJが全員準備できたら、それぞれ短歌を読み上げます。

全員が読み上げてから、改めてその歌を選んだ理由を説明します。

 

リスナーが一番気に入った短歌を選びます。

※勝敗を決めたくない方はこの部分を飛ばしてもOKです。

 

リスナー役を変えて、②〜⑤までの流れを何度か繰り返します。

(できればいろんな歌集を使ってもらう)

 

 

★メリット

・短歌を詠む、作ったものを発表するのが恥ずかしい人でも参加しやすい

・いろんな短歌があることを知ってもらえる

・(すでに短歌好きの方でも)すでに知っている歌集のなかの良い歌を改めて発見できる

 

 

「短歌を詠む(作る)」ワークショップは色々あると思いますが、「作ったものを発表するのは恥ずかしい」などの理由で、発表したくない方ももちろんいます。

そういう人に、短歌を詠ませるのではなく、「読む」方の面白さに少しだけ触れられるような遊び方です。

もしかしたら、気に入った歌が見つかって、歌集を手に取るきっかけになるかもしれません。ぜひ試してみてください!

 

★おまけ

短歌DJにオススメの本

普通に好きな歌集を持っていくのも良いですが、色んな歌人の色んな歌が乗っているような形式のものが何冊かあると良いかもしれません。

 

『短歌ください』シリーズ

桜前線開花宣言

 

また、穂村弘さんの『はじめての短歌』や枡野浩一さんの『かんたん短歌の作り方』のようないわゆる「短歌の入門書」の中にもたくさんの歌が出てきますし、解説がすぐ近くにあるので、慣れていない人のために用意していても良いかもしれません。

 

さらに、

フリーペーパー「うたらば」

www.utalover.com

短歌なZINE「うたつかい」

utatsukai.com

などもいいですね。

また、自分の告知で申し訳ありませんが、YUTRICKの「YUTRICK展 作品集」もたくさんの平成生まれの歌人の歌が載っています。(通販で購入可能)

nabelab00.thebase.in

 

とは言いつつ、とにかく短歌に関係する本が何冊かあれば充分です。

短歌が好きな人同士で気軽に楽しんでみても良いと思います。ぜひ。

この秋の活動報告

これまで自主企画というか、自分がやりたいことを自分でやる、という形が多かったのですが、この秋は依頼という形で、これまでやってなかったこともできた気がします。

 

1.

母校の甲南大学書籍部(TSUTAYA BOOKSTORE 甲南大学学友会館)の詩歌の棚の選書を一部担当しました

 

私は卒業して社会人になってから短歌を始めたので、恥ずかしながら大学時代は書籍部の詩歌の棚を見た覚えがありません(すみません…)

 

でも、もし自分が今大学生で、その棚の前を通った時、ちょっと気になって手にとってしまうような本を中心に、自分が大学時代に読みたかった本を選びました。

歌集や入門書だけでなく、短歌に少しでも関係する本ということで、歌人の書いたエッセイ等もお願いしました。

 

一部取り寄せができなかった本もありますが、私が大好きな本が今、詩歌の棚に並んでいます。

桜前線開花宣言』や『君を嫌いな奴はクズだよ』のようなインパクトのある表紙に引っかかって足を止める人もいるかもしれないし、

『サイレンと犀』や『食器と食パンとペン』の装丁に惹かれる人も、

又吉直樹せきしろ穂村弘、という作家名に反応する人もいるかもしれません。(穂村さんは歌人ですが、私は穂村さんを知ってからエッセイばかり読んでいて歌集を長らく読まなかったので、そういう人も想定しています)

 

また、特に好きな本には推薦のコメントもつけさせてもらいました。

そして、棚にはミソヒトサジも置いていただき、プレイ用のものまで設置していただいています。

 

私はいつか本屋さんになりたいと長らく公言してきましたが、夢がちょっとだけかなったような気分です。

ぜひ、甲南大学に行く際は一度立ち寄ってみてください。

 

 

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2.

宇野なずきさんの歌集の表紙デザインを担当しました。

 

ゆとり世代×短歌企画、YUTRICKにも参加していただいている宇野なずきさんの歌集の表紙のデザインを担当しました。

宇野さんの希望に添えたのかはわかりませんが、自分なりにいろんなパターンを出した中で選んでもらいました。

 

歌集の発売まではもう少しですが、YUTRICKでは宇野なずきさんの歌集発売を祝して企画を行います。

こちらもぜひご注目ください。

yutrick.hatenablog.jp

 

 

 3.「即興小説バトル キョウト・オファー・ターム」に出場しました。

 

即興小説バトルに関しては以前ブログでも紹介しましたが、改めて説明すると、

横林大々さん考案の「リレー形式でつづられる、2分30秒のライティングノベルバトル」です。

nabelab00.hatenablog.com

 

そんな即興小説バトル、私はこれまでチャット形式、ワークショップ形式は体験していたのですが、バトルという形では初めてでした。

しかもこの大会は公募制ではなく、主催の横林さんが選りすぐった方が選ばれるもので、正直言って、かなり濃いメンツでした。

 

短歌界からは私だけだったこともあり、他の方をあまり存じ上げていなかったのですが、Twitterで一方的にフォローしていてファンだった、あかごひねひねさんも参加者だったり、同じくTwitterで一方的にフォローしていてファンだった、ひつじのあゆみさんが審査員だったりと、非常に豪華な内容でした。

 

チャット形式やワークショップの時は全然緊張しなかったのに、本番前は完全に緊張していて、久々に体が震えました。(比喩ではなく物理的に震えていました)

 

しかも「気色の悪い感触が残る」「童話」でお題が「アルバイト」

童話とアルバイトも相性が悪いし、気色の悪い感触が残る童話というのも相性が悪いような、難しい内容でした。

 

結果は一回戦で負けてしまったのですが、対戦相手の九鬼そねみさんがすごすぎて、結果が出る前から「負けたわ」って思ったし、負けたけど、二人で作った話としてすごく気に入っていて、「力を出し切れなかった」とか、「自分の中では勝ってた」みたいなダサい言い訳をしなくてよかったのが本当に救いです…。

 

また、審査員のひらたいさんから、話としてはとてもよかったと言われたことや、ひつじのあゆみさんからディティール部分を褒められたのは非常に救いでした。

 

敗者同士であと一戦、勝敗をつけない状態で書く、というのもあったのですが、こちらは完全にアカン感じだったのであまり触れないでおきます。

 

大規模な即興小説バトルはしばらくお休みということですが、次回また是非参加したいと思います。

楽しい企画に呼んでもらえて光栄です。

 

 

 

ということで、なべとびすこは常に依頼をお待ちしております。

コラボ依頼とか、なんか一緒にやりましょう、みたいなことを言われたいです。ワークショップやって!とかも言われたいです。

基本的に「誘ってばかりの人」なので、誘われたいです。なんなら調子に乗って、取材とかも受けたいです。

基本的になんでもやってみたいので、是非依頼お願いします。無茶な内容は一部交渉するかもしれませんが、一回言ってみてください。

 

メールアドレス

nabelab00★gmail.com(★を@に変えてください)

までよろしくお願いします。

ミソヒトサジ1周年記念コンテスト「ミソコン」優秀者発表!

10月に開催した「短歌カードゲーム ミソヒトサジ」のコンテスト #ミソコン の優秀賞を発表します。

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ミソコン
「ミソコン」はざっくり言えば、ミソヒトサジで作った名作短歌をTwitterで発表しよう!
なべとびすこと天野慶さんとユキチさんがそれを審査するよ!という内容です。
詳しくは↓
 
そして、コンテスト期間の31日間でTwitter上に140首ものものミソヒトサジで作られた短歌が投稿されました。
参加してくださった皆さま、本当にありがとうございます!
そして、ミソヒトサジ制作者の私、なべとびすこと、ミソヒトサジのイラストを担当したユキチさん、また歌人として活躍されている天野慶んの3人が、全作品を作者を伏せた状態で、純粋に短歌だけを見て審査させていただきました。
それぞれが、本当に自分の1番が良い!と思った歌を選びました。
優秀賞を発表させていただきます。
 
【なべとびすこ賞】
イエーーイ!!渡りきったらのぼり棒虹色に塗りリンボーダンス
(作者:ルイージ店長  さん)
 
〈選評〉
縦に伸びるのぼり棒を、虹色に塗って横に倒せばリンボーダンスの棒として使えるという発見。
「のぼり棒」はブランコや鉄棒と違って、公園に一般的に置いてあるものでもなく、本当に小学校の中だけにある、子供時代の象徴のようなアイテム。
渡りきってしまって目標を終えたのぼり棒は、普通は多くの少年にとって大人になれば忘れてしまうような存在ですが、虹色に塗ることで新たな生を与えられる。
のぼり棒とリンボーダンスという無関係に見えるカードが短歌の中で1つの点でつながる面白さ。そして、上を目指すためののぼり棒は、リンボーダンスの棒になって、くぐるためのものになる。
この歌はのぼり棒の再生物語であると同時に、少年の成長物語であると言えます。
また、イエーーイ!、虹色に塗り、リンボーダンスという一貫したテンションの高さ。さらには、「のぼり棒」と「リンボー」の「り(ん)ぼう」でしっかり韻まで踏んでいます…。この短歌になべとびすこ賞を贈ります。
 
【ユキチ賞】
ヘイ彼女、絶望してものほほんと
しようじゃないかあの手この手で
(作者:ハイサイ・オ・ジサン  さん)
 
〈選評〉
‪短歌素人ながら審査員として参加させていただきました。
たくさんの応募作品の短歌一首一首に、ストーリーや世界観を想像できて、「短歌楽しいぞ!」と思いました。
その中でも、あのカードたちの組み合わせで、こんなに(個人的に)グサッとくるものが作れるんだなぁと感じ、カード以外の無限のことばの組み合わせでできる短歌の世界っておもしろいかもと思わせてくれたこの作品に決めさせていただきました。‬
社畜に響きます。
 
天野慶賞】
キングオブ気まぐれサラダ道連れに水の底から海老の秘密を
(作者:オオヤマ  さん)
 
〈選評〉
深海から海老を引き連れて、お皿の上できらきらしているサラダ。フォークをプツリと刺すと、海底の潮の流れの勢いとともに、秘密が溢れ出す。まさにキングオブ気まぐれサラダ!
いろんなサラダの歌が出来上がりましたが、シェフの素敵な気まぐれさ、この歌がいちばんでした。
 
 
以上、三首を優秀賞とさせていただきます。
優秀者にはそれぞれ、賞品をお送りさせていただきます。
おめでとうございます!! 
 
#ミソコン は終わりましたが、今後もぜひミソヒトサジで作った短歌をTwitterやブログなどでご紹介ください。
ミソヒトサジはTwitterでの皆様の面白い作品から火がついて広まってきたゲームです。
発売1周年を迎え、初版と定食版を合わせて1000個以上の商品が皆さまの手元に届き、短歌を知らない方も、短歌が好きな方にも、日々たくさんの方に遊んでいただいているのは、作者として本当に嬉しいです。
まだまだ短歌の面白さ、言葉を組み合わせる面白さを伝えるため、取扱書店やゲームショップの方、遊んでくださる皆さまと協力しながら、これからもより多くの方にミソヒトサジを知ってもらえるように頑張っていきたいと思います。
今後とも短歌カードゲーム ミソヒトサジをよろしくお願いします!!
 

歌人は特殊能力者では無いけど

突然ですが、短歌には「詠む」(make)と、「読む」(read)があります。

 

私はこれまでいろんな企画で、初心者でも短歌を「詠む」ためのワークショップなんかをメインに開催してきました。

「短歌カードゲーム ミソヒトサジ」もそういう意図で作ったものだし、他にも、「詠む」ためのハードルを下げたり、恥ずかしさをなくしたり、楽しんでもらえるように工夫したり。

 

でも、当たり前っちゃ当たり前なんですが、短歌の楽しみは「詠む」だけじゃない。

短歌は、「詠む」だけじゃなくて、「読む」のも楽しいんです。

 

短歌をやってる人の「読む」力のすごさを何回も目の当たりにしてきて、その度に「短歌をやってて、良かったー!」って思ってきたので、今回改めて紹介します。

 

短歌では「歌会」というものがあって、やり方は歌会によってちょっとずつ違うんですが、基本の流れは

 ・参加者が短歌を提出

 ・提出された短歌一首ずつについて参加者みんなでコメント

みたいな感じです。

歌会によって、

短歌を匿名で出すか作者がわかった状態か、事前に歌を読んでくるか当日発表か、投票があるかないか、テーマがあるかないか、とか、細かいところは色々違います。

 

とにかく、自分以外の人が作った短歌にたくさんの人が「コメント」するわけです。

そのコメントを聞くのが本当に好きなんです。

自分の短歌にコメントしてもらうのは、「おお、ここ伝わってなかったなあ」とか、「そういう解釈もあるんか!」とか、「ここ工夫したから褒められて嬉しい!」とか、ハラハラしながら楽しく聞いたりします。

でも、他の参加者の歌についてのコメントも楽しいです。

特に、牛隆佑さんの「借り家歌会」では、自分の短歌と、自分が好きな短歌を一首ずつ持ち寄る形式なので、いろんな名作短歌に皆がコメントするのを聞けるわけです。

 

この前久々に借り家歌会に行ったので、好きな短歌を提出しました。

 

さんざんに踏まれて平たき吸殻が路上に在りてわれも踏みたり/奥村晃作

 

「平たき吸殻」を踏んでも、他の人はたぶん何とも思っていないけど、この「われ」は踏んだことに対して何かを感じていて、それは後ろめたさみたいなものなのか、もしかしたら自分を重ねているのかな、とか。感情は全く書かれていないのに色々伝わってくる感じが好きで選びました。

そして、好きな歌を持っていくと、他の人のコメントも聞けるわけです。

今回も「平たくなった吸殻=人通りが多い場所 で、下を向いて歩いているはず」みたいなコメントがあって、その観点はなかったー!と思ってびっくりしました。

私は平たき吸殻=時間が経っても誰も拾わなかったもの っていう時間の経過を強く感じていたけど、「人通りの多い場所」っていう可能性もあるし、それ以上に「下を向いて歩いている」というところですよね。

だって、「平たい吸殻」なら、足で踏んでも気づかないはず。ということは、下を向いて、目で見た上で踏んだんかー、と。

他の人のコメントでさらに新しい見方が広がるのが楽しいんですよね。

 

また、良さがわからなかったり、意味がわからなかったりするときは、正直に「ここがわからない」と言うと、わかっている人が「ここはこういう意図かもしれません」と言って解説してくれたりします。

 

短歌を始める前、学校で短歌を勉強した時に私が思ってたのは「いや、こんな短い中からここまで読み取れるかいな」ということでした。

「短すぎてわからない」し、「短くてもわかる」人でしか楽しめない文化だと思って、短歌を敬遠してたんです。

歌集を貸した時に、「一般人にはわからない」と言われたこともあります。その人にとっては、歌人は一般人とは違って、短歌を詠む人は、他の人の短歌も「わかる」と思われてるんじゃないか、と。

でも、私が短歌を始める前に、たぶん穂村弘さんの本に書いてあった「別に歌人同士でも全部わかりあってるわけじゃない」みたいなコメントを読んで、「あっ、全部わかる必要はないんか」と思って、気持ちが楽になりました。

 

だから、歌人は「短い中でもなんでもわかっちゃう」特殊能力者じゃないっていうこともわかってるんですけど、それでも「読む力」が高い人もやっぱり多い気もして、というか歌会を重ねてうまくなっていくのかなと思います。だから、短歌をやっている人と歌詞の話をすると色々新たな発見があります。

 

前にTwitterで、ZONEの「secret base 〜君がくれたもの〜」にある「僕は照れ臭そうにカバンで顔を隠しながら本当はとてもとても嬉しかったよ」という歌詞は、「『僕』という一人称の部分で『照れ臭そう』という方は違和感がある」って言ったんですが、短歌をやっている方から、「ここは過去の自分を回想して客観的な目線で見ている場面なのであえてそうしているのでは」という意見があって、目からウロコでした…

「うおー!歌人ってすげえ〜!」と思いました。

 

1年以上前に「好きな歌詞語る会」っていうのをやったんですが、その時に紹介したthe pillowsの「彼女は今日、」という曲の歌詞についても、他の人からコメントをもらって、新しい発見がありました。

nabelab00.hatenablog.com

 

一首でも色んな見方ある、というのは.原井さんの「一歌談欒企画」とかを見てもらっても良いかもしれません。私も参加しています。

dottoharai.hatenablog.com

 

タイトルに書いた通り、歌人は別に特殊能力者じゃないけど、でも単純に短歌ファンとして、「読む力」が高い、短歌をやっていく内に「読む力」が高くなった人って多い気もしていて、その人たちの話を聞くのは本当に楽しい。

ぜひ歌会に行って、色んな人のコメントを聞いたりしてみてください。 

ワークショップ「もしも短歌が作れたら」で作った小説と短歌(2017年11月ver)

牛隆佑さんが毎月コワーキングスペース往来で行っている短歌のワークショップ「もしも短歌が作れたら」で作った小説の冒頭と短歌を載せます。

以前にもこのイベントで作った小説の冒頭と短歌を掲載しました。

nabelab00.hatenablog.com

 

この「もしも短歌がつくれたら」は牛さん主催の初心者向けの短歌ワークショップです。流れとしては、短歌の基本をさらっと解説したあと、それぞれが「小説の冒頭」を書きます。(いきなり書くのは難しいので、お題カードを引きます。クオリティの高い小説を書く必要はなく、あくまで「ふわっと」世界観が伝わるような文章になればOKです)

そして、書いた文章を読み上げて、そこから良いフレーズをピックアップし、5・7・5・7・7のリズム収め、短歌を作っていくという流れです。

ワークショップではお題を引いて小説の冒頭を書きます(その前に短歌とは、の説明も少しあります)。

 それでは、今回作った小説の冒頭です。

※その日即興で作ったものですが、一部誤字や表現は直しています。

 

引いたお題カード→「王様」「水筒」「散歩」
 王様が水筒を持っている姿を想像できない。なんとなく、王様は水筒を持っていない気がする。なぜなら水筒は主に節約を目的として使われるものだからだ。王様は節約をする必要がない。なぜなら王様だからだ。
 王様が散歩の時に水筒を持つような国は、おそらく豊かではないだろう。国民のなかで1番豊かなはずの王様が水筒を持っているようでは、ましてや使い古した水筒の茶渋を落とすために重曹を使っているようでは、万が一にでもスーパーマーケットで大容量のお茶パックを買い込んでいるようでは、その国に未来はない。
 というのは古い考え方ではないだろうか。本当は王様はある程度質素で、多少は慎ましく、国民からいただいた税金を大切に大切に使う人格者であってほしい。
 いや、それはそれで日本的というか、結局足の引っ張りあいというか、王様と同じように、いやそれ以上に全員が質素な生活を強いられて、誰もモノを買わなくなるのではないだろうか。
 おいおい、大量生産大量消費の時代は終わったのだから、最小生産最小消費をするべきであり、全員で慎ましく、小さなしあわせを噛み締めて、味がなくなる寸前まで噛み締め、味がなくなってからも舌をフル稼働させて乗り切るようなのが、真の幸せな国家じゃなかろうか?
「というわけで、王様には明日から水筒を持っていただきます」
 家臣がそう告げると王様は「えっ、水筒って、要る……?」と言いました。常に満たされ続けた王様は、生まれてこのかた、飢えを感じたことがありません。飢える前に食べ物を与えられ、喉が渇く前に水分を与えられてきました。
 そしてなにより、水筒を持つのは王様ではなく、家臣です。王様が重いステンレスの水筒を持つことはありません。
 ということで、王様が水筒を持つ姿は想像できなくて大丈夫です。

 

 

ここから一部表現を取り出して、作った短歌です。

 

水筒を持たなくていい王様と重曹の良さを知ってる家臣
ダイソーの水筒を持つ王様を未来のためにねつ造しよう
日本的あしの引っ張り合いのすえ幸せは顕微鏡で見る夢
王様は満たされ続けていてほしい空の水筒の心許なさ
豊かさの象徴である王様に隠されている小さなひかり
幸せを大量生産してほしいトップバリューで買えるぬくもり

 

以上です。

 

★今後の告知

11月18日(土)14:30〜 短歌で遊ぼう @まちライブラリー Aダッシュワーク創造館

www.kokuchpro.com

 

このイベントでは

「短歌カードゲーム ミソヒトサジ」と「短歌コラージュ」を行います。

※以前の短歌コラージュのレポートはこちら

 

また、ミソヒトサジの説明動画が新しくなりました!

こちらもぜひご覧ください!

www.youtube.com

 

www.youtube.com

 

 

あなたの短歌はどこから?

‪私はハルカトミユキから、です。

というか、そもそも短歌を「知った」のは穂村弘さんでもあるんですけど、というか元々はただのほむほむファンなんですが、

歌集をはじめて買ったのはハルカトミユキのライブの物販ですし、最初のモチベーションはハルカトミユキなんですよね。

 

今日、ハルカトミユキのアコースティックライブに行きました。めちゃくちゃ良いライブだったので、過去に遡って書きます。

※ほぼ自分語りでライブのレポートではありません。

 

Twitterで散々書いてるので知ってる方もいるかと思いますが、ハルカトミユキが、私の短歌を始めたきっかけです。‬

歌人ではなくミュージシャン。‬
‪ギターボーカルのハルカさんとキーボードコーラスのミユキさんの2人のユニットです。‬


‪「短歌やってます」って言うと、「なんで短歌なんですか?」ってよく言われるけど、‬

‪「そもそもなんで短歌始めたんですか?」‬
‪っていう問いに、ヒくほどミーハーな答えを恥ずかしげもなく言わせてもらうなら「ハルカトミユキのハルカさんに褒められたかったから」です。‬

‪ハルカさんがTwitter歌人をフォローしたり「食器と食パンとペン」をフォローして短歌をお気に入りしてるのとかも見てたので、短歌で有名になればハルカさんのところに自然と私の短歌が届くだろうという算段です。‬

‪だから当時の目標は、‬
‪ハルカさんに短歌をお気に入りされる‬
‪ために、‬
‪食器と食パンとペンでイラストをかいてもらう‬
‪ために、‬
‪うたらばとかに頑張って載る‬
‪ために、‬
‪短歌を頑張って詠む!!‬

‪という途方も無い目標を立てて頑張っていました。‬

‪「かばん」をハルカさんが購読してるって知った時は、かばんに入会したいと思ったこともありました。‬
‪とにかく、ハルカさんの目に短歌が触れることが目標だったんです。‬

‪ただ、実際は‬
‪フェスでハルカトミユキのサイン会に行く‬
‪↓‬
‪1回顔を覚えられる‬
‪↓‬
‪ファンレターやサイン会等短歌をやってることも伝える‬
‪↓‬
NHK短歌「ジセダイタンカ」に載り、‬
‪コラムでハルカさんの歌集について書く‬
‪↓‬
Twitterでハルカさんに「歌集について書いたので送っていいですか?」と聞いてリプライをもらい、事務所にNHK短歌を送る‬
‪↓‬
Twitterでリプライが来る!!!‬

‪という流れで、最初の予定よりもストレートにハルカさんに短歌を読んでもらうことができました。‬

‪目標を叶えた後、もはやミーハーな気持ちではなく、単純に「短歌が好き。短歌に救われる人がいるはず。もっと短歌が広まって欲しい」と思うようになって、YUTRICK、ミソヒトサジ、短歌のワークショップ等、活動を続けてきました。‬

 

‪話は戻って、今日のライブのツアータイトルは‬
‪「‬溜息の断面図 TOUR 2017-2018 種を蒔く〜種〜」

‪ツアーはアコースティック編成の種編、バンド編成の花編があって、今日は種編。‬

 

‪今年の春あたり、私はけっこう疲れてて、自分が短歌をやってる意味とか、イベントとかやってる意味とか、ミソヒトサジ作ってる意味とか分からなくなってて、‬
‪仲の良い先輩に「砂漠に種蒔いてる感じですわ」って言ってたんですけど、‬


‪ハルカトミユキが「種を蒔く」って言葉を大きく使ったときに、自分のやってることにも意味があるかもって思えたんですよね。‬


‪そして、蒔きはじめた種がそんなすぐに咲くわけないから、ここでやめたらあかんなとも思いました。‬


‪ジセダイタンカとか朝日新聞に載ったりしたことも、自分にとっては1つの花だったし、私が短歌広めようとして誘って人が今も続けてくれてるのも花だし、その他いろんな花が全部、種を蒔いてなかったら見れなかった花です。

種っていうのは自分にとって短歌を始めた頃からやってきた企画とか諸々。‬

 

‪まだまだ野望はいっぱいあるし、種のままのものだらけですが、頑張りたいなって。‬

 

‪ライブは新旧織り交ぜたセットリストで、「旧」の部分は私がハルカトミユキにハマった頃に聴いてたあたりの曲。‬
‪でも意外とライブで聴いたことない曲があったり(20回くらい行ってるのに)、ちょっと前に定番やったけど最近やってない曲があったり、最新アルバムとか新曲も交えながら、MC少なくて静かな昔の雰囲気のあるライブでした。‬

 

‪でも、静けさのなかにあたたかさもあった気がします。‬
‪行き始めた頃のライブは本当に静かで、緊張感があって、張り詰めてて、ピリピリしてて、客も棒立ちで、というか動けなくて、MCほとんどなくて、アンコールもなくて。

でもそのなかで懸命にハルカさんが歌ってたり、ミユキさんが力強くキーボード弾いてる姿が、でかい敵と戦ってるみたいだったんです。‬
‪その頃、自分もそれを見て勇気づけられてました。この人たちがこんなに本気で戦ってるんだから、自分も本気で戦おう、って。‬

‪最近は明るい曲も増えて、パフォーマンスも激しくなって、新たな楽しみもあって、表面的にも新しいハルカトミユキって感じでしたが、‬
‪今日改めて静かなライブで「やっぱり2人は変わったんや」って思いました。‬

‪あの時のピリピリしたライブも好きやったけど、いまもっと人間味があって、あたたかくて、でも確実に寂しさも知ってるみたいな。‬
‪寄り添ってもらえる歌になってる気がしました。‬
‪なんかそれがすごいいいなと思って。‬

 

‪ハルカさんがだいぶ前のインタビューで、自分たちが止まったままじゃ、お客さんが変わった時に置いていかれるみたいなこと言ってて、‬
‪お互いが成長してその先でまた会いたい、みたいなことも言ってて、‬
‪それが今日みたいな日なんじゃないかと思いました。‬

 

‪ライブ終わった後に、物販でCD買ったらサインもらえるってことで、CD全部持ってるしサインめっちゃ持ってるけど、昔のCDを買って、サインしてもらいました。‬

 

‪「短歌で頑張ってたら新聞に載りました」って言って「すごい!本当にすごいですよ」って言ってくれて、そういうのお世辞でも毎回嬉しいんですよね。‬
‪前も短歌の報告したら「応援してます」とか言ってくれて、応援してんのはどう考えてもこっちなんですけど、嘘でも嬉しいし、ファンなので嘘じゃないと信じて頑張りたいです。‬

 

‪歌集出してハルカトミユキに帯と解説書いてもらうまで辞められないと思う。

やっぱり短歌のイベンターじゃなくて、イベントが得意な「歌人」になりたい。

 

‪ついでにハルカトミユキを知ったきっかけとか書こうと思ったら異常な文量になって自分でヒいたのでやめます。‬

 

‪あと短歌の話だったせいでハルカさんの話ばっかり書いたけど、ミユキさんも最高なんですよ。‬
‪天才キャラみたいな感じやけど努力の人やと思う。

ここ最近、特にミユキさんに元気もらってるし、尊敬してるし、これもめっちゃ書きたいけどファンブログみたいになるからやめときます。‬

‪今日やらなかったけど、1番はじめに好きになった曲を貼ります。‬
https://youtu.be/vm6V4aBU_Ag

 

それではハルカトミユキ聴いてくださいね。

 

サインは「真夜中の言葉は青い毒になり、鈍い世界にヒヤリと刺さる」(←初期のepはタイトルが短歌になっています)にしてもらいました。聴いてみてください。

 

 

 

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