機械に話しかけるのが恥ずかしい
Hey,Siri.
OK,Google
とか言うのがめちゃくちゃ恥ずかしくて、言ったことがないです。
まあ上の2つは英語やし、ちょっといけすかん感じがあるからわかるんですけど、ふつうに音声入力とかも無理なんですよね。
最近文字起こしする機会があって、そういうときに内容を自分の声で読み上げて入力するのがいい、みたいなのを見たことあって、「おっ、それええやん」って思ったんですよね。
思ったんですけど…
機械に話しかけるのが恥ずかしい私が、機械に向かって文章を読み上げられるわけなかったんですよ。
前にあべのハルカスで時間つぶしてたら、ロボホンのキャンペーンをやってたんですよ。
ロボホンはロボットのiPhoneみたいなやつです。
営業のお姉さんはギャルっぽい感じの人で、ロボホンにめちゃくちゃ愛着持ってる感じでした。
暇やけど買うつもりはなかったから、時間取るのもアレかなって思ったけど、「話だけでも!」って言われたから、(ほんまに話だけですよ?)っていう顔で座って話聞きました。
「この子買ってホントに良かったな〜って思うのは、この子、プロジェクターになるんです!だから夜にYouTubeとかNetflixとかで映画観たりしてから寝るのが日課なんです〜!」
みたいなことを言われて、
へえ〜そういう機能もあんのか〜!まあ金銭的に買う余裕はないけど良いこと聞いた感じある!
こんなん要らんやろ、って正直思ってたけどこういう実用的なメリットを知れただけでよかったな〜〜!
と思ってたら
「せっかくなんで、この子に話しかけてくださいよ!!」
……終わった……
お姉さんが「踊って」みたいなことを言ったらロボホンは踊って、その間に私はもう冷や汗をかきまくってました。
お姉さんは明るく
「言ってみてくださいよ〜!」って、
たぶん機械に話しかけるのが恥ずかしいって人が世の中におるのも知らん感じの無邪気さで言って。
でも私は機械に話しかけるのが無理なことは不便とは感じてたんです。だから、
これは克服するいいチャンスでは?
って思ったんですよね。
自分の身体中から勇気を寄せ集めて、震える声で言いました。
「踊って……」
ロボホンは反応しませんでした。
お姉さんは
「あっ、声小さかったのかもですね!もう一回言ってみましょう!」
って言って、私はもう一度
「踊って……」
と言いましたが、ロボホンが反応することはありませんでした。
ロボホンはお姉さんにはしっかりぜんぶ反応してました。
ポケモンが捕まえてすぐに懐かないときのトレーナーってこういう気持ちなんですか?
ここ数年で唯一機械と話そうとした記憶はマジでその時だけで、結局今も私は機械と話せないんです。
このままじゃドラえもんが自宅に来てくれても、なんの道具も出してもらえずに終わりますよ。
来てくれてありがとう、も
申し訳ないけどロボットとは話せないから帰ってほしい、も
この服気に入ってたのに太って入らんからビッグライトでひとまわり大きくしてほしい、も
旅行の荷物重たいからスモールライトで小さくしてほしい、も。
いろんなこと言いたいけど言えずに口パクパクさせて終わりですよ。
すべての言葉を括弧でくくって終わりですよ。
(うわ〜〜マジかドラえもんがウチの家に来るとは…正直テンション上がるわ〜!
ウチドラえもんの短歌けっこう読んでるしな〜!それ伝えたら喜んでくれるかな…でもちょっと暗めの短歌多いもんな〜
てか動画何出してもらおうかな〜こんなことならドラえもんのコミックぜんぶ集めといたらよかったわほんまに。とりあえずネットでなんか便利そうな道具と逆に使ったらあかんやつ調べるか〜まあそのまえにとりあえず仲良くなりたすぎる…なんか目的あって来てんのかなあ…のび太に対しても目的持って来てるし普通にあるよな…気になるわ〜、てかドラえもんが家に来たこと言いたい…仲良い友達と家族だけでもいいから言いたいわ〜これって言っていいやつかな? マスコミとか来てもめんどいしな〜SNSとか載せんほうがいいよな〜…)
ドラえもん「びすこさん?」
……終わった……