なべとびすこのなすべきこと

やってみたいをやってみよう。短歌を中心にいろんなことをやっている歌人のブログ。

「彼はいわゆる辞書歩きをした。」

告知も何も無いブログを書きたいと思ったので、とりとめのない思いを書く。
 
言葉を超えたい、って思ってる。
言葉を超えてる!って思うときに感動する。

言葉を超えるっていうのは、通常の文章であれば×がつくような、WORDで打ったら波線つけられるような、文法的には間違ってたり、普通の使い方じゃ絶対しないような言葉の使い方のこと。それを全力で面白がりたい。
 
 
それで、このブログのタイトル。
「彼はいわゆる辞書歩きをした。」
なんか変な感じがする文章。これは、高校の英語のテストで書いた私の回答。
 
確か、原文は
He is what is called walking dictionary.
で、点数のポイントは2つ。
「what is called」を「いわゆる」と訳せたかどうか。
もう1つは「walking dictionary」を「動詞+ing」で動詞の意味が後ろにかかる、という文法をおさえてるかどうか。つまり、walking dictionaryは「歩く辞書」になり、
 
「彼はいわゆる歩く辞書だ。」
が正解。
 
私の回答は「彼はいわゆる辞書歩きをした。」なので、「いわゆる」をおさえたので一点加点。でも「辞書歩き」の訳は間違ってるので結果は△。
当時、友達から「てか、辞書歩きってなんやねん?」と罵倒された。
 
辞書歩きっていうのは、
辞書引いてるときに
→(対義語)
みたいになってるページに行って、今度は類義語が出てきたり、ほかの言葉が気になって調べたりする感じ。
wikipediaで延々とジャンプした結果、「そもそも何調べてたんやっけ?」ってやつ。
「ネットサーフィン」の辞書版が「辞書歩き」なんや!! 辞書歩きって聞いたことなかったけど、たぶんそうや!!
ということをテスト中に一瞬で考えて書いた。
自分も「辞書歩き」って言葉は知らなかったくせに、「ネットサーフィンがあるかは辞書歩きも絶対にあるはず」という若さゆえの謎の自信。(当然「辞書歩き」って言葉はこの世に無い。)
 
ただ、17歳の私に言ってあげたいのは、
「ネットサーフィンがあるなら辞書歩きもあるやろ」って考え方は好き、しかも辞書歩きっていう、この世に無い言葉を瞬時に生み出したセンスが好き、ってことだ。
 
私は韻が好きで、韻にも種類はあるけど、好きなのは「母音を一致させる」というやつ。
少年少女」と「正面衝突」「冒険衝動」「当然今日も」で母音を揃える、みたいなやつ。
(↑この例はKICK THE CAN CREWの「イツナロウバ」という曲で使われてる韻)
 
前にも紹介したけど、韻についての研究は細川貴英さんのブログや本が面白いしわかりやすい(

www.fumu.in

)。
でも、なんで韻が好きかっていう理由は、たぶん細川さんとは違うところにある気がしてる。
 
 
私が韻で1番好きなフレーズはKICK THE CAN CREWの「magic number」という曲でLITTLEが歌ってる部分。
 
歌詞の流れは、とにかく「日本語ラップは最高だぜ!」ってことを言いたい感じ。
 
それを言うときに
エンドレス」と「言語です」(母音が「えんおえう」で一致)で韻を踏もうとしたんやと思う。
でも、LITTLEは天才ラッパーなので、この2つで満足するようなレベルじゃない。
日本語ラップには、エンドレスだせじゃなくて、限度がなくて、鮮度もある…
 
その結果生まれた歌詞がこちら↓
 
エンドレスで限度レス 鮮度ネスな言語です
 
すごくないですか?
「ボーダレス」とか「シュガーレス」みたいな、ときに使う「レス」と、「フレッシュネス」「カインドネス」とかのネス。これを日本語にくっつけて
「限度レス」とか「鮮度ネス」って言葉を無理やり作ってまで、
「エンドレス」と「言語です」と同じ「えんおえう」って母音で韻を踏んでるんですよ!!!
 
ボーダレスがあるなら限度レスもあるやろ!! みたいな、そんな強気な感じがものすごく出てる。
 
これが私がやりたいと思ってる
言葉を超えてる!!
ってやつです。
 
やっぱり、言葉を使ってこれまでにない表現をしたいと思う。
 
それが自分のなかで上手くいったなーって思える自分の短歌はこれまでにたま〜にあった。
 
 

常温の毛布と体温分け合ってたった一人で春を身籠る

 

これは、自分で言うのは恥ずかしいけど、「春を身籠る」ってフレーズ、良いですよね。

これを生み出すためにやってみたのが「韻」で言葉のバリエーションを考えるって方法。

元々は

春を彩る

って言葉から「いろどる」の部分で韻を踏める言葉を考えてた。

それで、「身籠る」が出てきて

春を身籠る」はオリジナリティあるな!と思って、すぐにメモして、そこから広げた。

だから、短歌の中では韻を踏んでないけど、普通の「春を彩る」っていうよくある言い回しが下敷きになってるから、とりあえず耳触りはよくなるってところがポイントな気がします。

 

「桜舞い散る

桜張り切る、桜がイビる、桜ダシ汁

みたいな。

「桜張り切る」は使えそうですね。

今日も桜が張り切っている

とかいう下の句も作れそう。

 

そんな感じで、韻からキャッチーなフレーズ作るの楽しくないですか?!

まだ誰も言ってない言葉、誰もしてない組み合わせで、言葉を超えていく。

それが作れたら、短歌に入れたくなっちゃいませんか?!

ぅてことなんですよね。

短歌も韻も楽しいので、どんどんやっていきましょう。

 

今日は「うたの日」のお題が「韻」でした。応募しましょう。

うたの日