はたらく学校文化祭に登壇して改めて考えた「夢中になれるものの見つけ方」について
少し前のお話ですが、「はたらく学校「国語」 OL歌人に学ぶ!「短歌づくりで知る自分のシゴト観」に登壇しました。
テーマは「夢中になれるものの見つけ方」だったんですが、実はこれまでにも近いことはよく友達から質問されてきたんですよね。だから今回の依頼を受けてか改めてめちゃくちゃ考えたので、せっかくなので書いておこうと思います。
部分的には当日もお答えしましたが、時間的に詳しくお話できなかった部分もあるので詳しく書いておきます。
「趣味ってどうやったらできると思う?」
「好きなことってどうやったらできると思う?」
そういう質問が来るのは、私がわりと趣味が多く見える人間やったからやと思います。
短歌と読書(小説、漫画、エッセイ)、ボードゲームだけでなく、音楽聴いたりカラオケ行ったり連ドラ見たり…くらいまでが自信持って好きと言えるものですが、まあ他にも映画観たりフェス行ったり美術館行ったり(この辺は最近できてない)、去年から料理も始めたし、あとは本当にたま〜にサイファーとか脱出ゲームとかでしょうか。
私の場合、好きなものが多いのと、好きなことやってる場面をSNSで発信したり、人に勧めたりするので、余計に趣味が多く見えるのかもしれません。
でも私は元々趣味とか全然ない人間だったんですよ。
小学生のときは本も映画も旅行も美術も嫌いで、音楽もあんまり興味ない(ミスチルとスピッツの違いがわからない)し、特にHIPHOPなんかはもってのほかって感じでした。
嫌いなものだらけの状態から、徐々に好きなものが増えていったっていう流れです。
だからわりと、本が嫌いっていう人の気持ちもわかるし、短歌が難しそうって思ってる人の気持ちもわりとわかります。私もそうだったので。
「趣味を作るには」「夢中になるものを見つけるには」っていう質問に、ずっと「数を打つしかないんじゃない…?」と言っていて、実際、数を打つのは大事やと思います。やってみないと、それが楽しいかとか、自分に向いてるかとかわからんから。
でも、数を打つには時間とか、モノによってはお金が必要で、数万円かけていろいろ買って準備したのに向いてなかったら…とか思うと踏み出せない人もいるかもしれません。
また、「趣味を作りたい」って言ってる人のなかにはきっと、仕事とか家庭のことで忙しくて、趣味で息抜きしたいって人もいると思うんですよね。
ということは、その人はけっこう切実な状態のはずで、時間的な余裕や精神的な余裕がないかもしれなくて、そのときに「いろいろやってみれば?」っていうのは酷かも…って思うようになったんですよね。
手探りで新しいことをやるのはふつうに体力がいるので、それをしんどい状況で実践できるとは限らないんですよ。あと、ギリギリの状態で変なとこに飛び込むとダメージがでかいです。(私もギリギリの状態で変な意識高い系の人にあって泣きながら帰ったりしたので…)
だから、そういう状況では、「効率的に数を打つ」ことが大事になると思います。
効率的ってなかなか難しいですが、とりあえずいろいろ考えた結果、まずは「自己分析」、もっと言うと「自分の棚卸し」が要るのかなと思いました。
過去に自分が好きだったものと嫌いなものの洗い出しです。
ただ、「その『好きなもの』がないんや!」って方もいるかもしれません。
でも今回改めて思ったのは、大事なのは「嫌いなもの」のほうかもってことです。
リストアップしたら、好きなものと嫌いなものの理由を明確にしましょう。
特に、嫌いなもののほう。
たとえば私はさっきも書いたけど、もともと本が嫌いでした。
本が嫌いなころの理由は
「漫画は絵+文字、小説は文字だけやから、漫画の方が面白いに決まってる」
短歌を嫌いだった頃(小説は好きになっていた)の理由は
「小説は文章で登場人物や情景、心情をしっかり書いてくれてるけど、短歌は短すぎてなんもわからん」
※当時、短歌は教科書でしかやったことがなかったです。
料理が嫌いやった頃は
母が「うちがお金持ちなら毎日外食行ってる」とよく言ってたので、料理は生活のために嫌々やるものに決まっている、
でした。
で、この嫌いの理由って、よく見れば誤解や偏見が入ってますよね。
だから、誤解や偏見が解けたとき、好きに変わったんです。
誤解とか偏見が解けるまでにはいくつかステップがあったけど、それはまた別で書くとして、
「嫌いなものの中に、好きになるかもしれないものが隠れてる」ということは知っておいてほしいです。
たとえば、私は運動神経が悪いからスポーツが嫌いやと思ってたんですけど、たぶんスポーツじゃなくて体育が嫌いやったんですよ。
「運動神経が悪い」のは事実としてあったから、
・みんなよりできなくて辛い
・周りから笑われて恥ずかしい
・ドッジボール当たったら痛い
・体操服にシャツ入れるんダサいけど真面目やから入れつつ怒られへん具合の見極め難しい
・みんな夏場はくるぶしソックス履いてるのにウチだけ長くてダサい
・長い時期はソックタッチでみんな止めてるけど、肌が荒れそうやからウチだけ使われへんくてズルズル
・アトピーやから汗かくとかゆい
とか細かいいろいろ理由があったわけです。
でも、私は「できない」から「できる」に変わる達成感とかは好きなはずなんです。
でも体育って、あんまりそこんとこ教えてくれずにただの才能テストと化してたりするじゃないですか。
先生のお手本なんか一瞬で、もっと具体的にどうすればいいのかを言語化して教えてほしかったのかもしれません。
そして後半の体操服のくだりとかは思春期とかぶったからそんなことを思ったけど、大人になってからのスポーツなんか好きなジャージ着ればいいから悩みませんよね。大人はドッジボールとかあんまりせえへんし。ってかドッジボールってボールのぶつけ合いでマジで野蛮じゃないですか?!当たると痛いし…って今は思ってるけど、当たると痛くないドッジボールがあったら好きになるんでしょうか。
って思うと、問題は「できない」の部分ですが、ちゃんとコーチとかがついてくれるタイプのとこやと、人より遅れるけど、できることがあるんですよ。
そうすると、やっぱり楽しいなって感じられて、スポーツが嫌いなんじゃなくて体育が嫌いやったんやなってわかりました。
嫌いな理由を明確にしてると、その要素に別の原因が絡んでることがわかったり、理由に誤解や偏見があったときに、好きに変えられるんですよね。
そして、何が「嫌い」かをわかっていると、新しいことにチャレンジする前に、向いてないことがありそうなら避けられるかもしれません。
また、何が「好き」かわかってると、他の人に勧められたときにちゃんと反応できる気がします。
他の人が何か趣味の話をしてたときに「○○って〜〜なところがめっちゃ楽しいねん」って言ってたとして、その「〜〜なところ」が自分の「好き」に近かったら興味を持てますよね。
あと、最初に言ってた「趣味ってどうやったらできると思う?」に対して、その子のことをよく知っていて性格がわかってたら、こういうの向いてそうやなとか、向いてなさそうやなとかある程度わかるので、個別のアドバイスができるじゃないですか。
実際私も、友達に短歌とかボードゲームとかサイファーを勧めたことは何回もあるんですけど、ある程度向いてそうな人にしか勧めないんですよね。
その「向いてそう」は私の主観でしかないけど、たとえば本人から「昔は○○が好きやったけど〜〜が原因でやめちゃって、新しい趣味を探してるねんけど、なんか良い趣味ある?」って言われたら、その子が好きなものの要素がありそう且つ、原因となったものが入ってなさそうな要素を頑張って探したりできるじゃないですか。
(毎回そんな都合の良いアドバイスはできませんが、考え方として)
だから、自分のことを理解して、自分の情報を開示するって大事やなって思います。
その自分の情報を持って、いろんな話を聞いたり、本とかテレビとかインターネットとかを見たりして、向いてそうなものがあったらできるだけ「やってみる」。
そういう感じが良いんじゃないかと思います。
今回改めて気づいた「嫌いなものの中に、好きになるかもしれないものが隠れてる」っていうのは自分にとって大事なことだった気がします。
よく「短歌が苦手な人にわざわざアプローチせんでも」って言われたりするけど、「短歌が苦手な人」のなかにはいつか短歌に目覚める人が混ざってるって思ってます。私もそうですし、けっこういるんじゃないでしょうか。
その人が苦手意識を拭うにはいくつかステップが必要で、だから私はいろんなところにステップを用意しときたいです。
私と同じように、何かが好きで、好きな人を増やしたいって思ってる人は世の中にたくさんいると思うので、そういう人の発信を受け取れる準備のひとつが、自分の好きなもの・嫌いなものの棚卸しやと思います。
一回チャレンジしてみてください。
イベントに来てくださったみなさん、ありがとうございました。
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