なべとびすこのなすべきこと

やってみたいをやってみよう。短歌を中心にいろんなことをやっている歌人のブログ。

「相手のことを思った故に変な行動に出て誰かを傷つけるパターン」の演出やめろ

今期のドラマは、
いだてん相棒3年A組メゾンドポリス
を見てます。

 

今回は「3年A組」の話。

毎回続きが気になるし、今週(第6話)は特に現代のタイムリーな問題(SNSの不適切動画投稿)に切り込んだ感じで良かったんですよね。

 

ただ、どうしても「ドラマのこのパターン嫌いやわぁ…」ってやつがあったんですよね。

 

 私が嫌いなパターンといえば、以前書いた「警察の闇」パターンですが、他にもあるんですよ。

nabelab00.hatenablog.com

 

3年A組」のあらすじは、めっちゃ簡単にいうと、

担任の美術教師が29人の生徒にを人質にして、教室に立てこもって最後の授業をするって感じです。その授業のなかで、自殺したクラスメイトの謎が解き明かされていく…って感じです。

気になる方は公式サイトを見てください。

www.ntv.co.jp

 

ここから完全にネタバレなので、「3年A組」見てて6話目がまだの方は、青文字の部分は読まないでくださいね。

 

6話では、


「学校の先生の中に犯人がいる」、「夜までに犯人が名乗り出ないと教室を爆破する」って担任が言うんですよね。

 

生徒たちは誰が怪しいかを話し合って、水泳部の顧問の先生が怪しいなって話になるんですよ。

 

で、水泳部の顧問の先生に過去にパワハラを受けた女生徒の涼音ちゃんが、顧問のパワハラを暴露した動画を撮って、SNSに流して、顧問を追い詰めようとするんですよね。

 

ただ、結局このパワハラ「本人(涼音ちゃん)のためを思ってやった行動」だったことが顧問から伝えられ、

暴露しようとした涼音ちゃんがめっちゃ後悔するけど、実は動画は主人公によって公開前に止められてて、

 

涼音ちゃんはホッとしたものの、主人公に胸ぐら掴まれたりしながらめちゃくちゃ怒られる

 

って流れなんですけど。私が嫌なのは、
この「本人のためを思って」のとこですわ。

 

だって、この「本人のためを思って」の内容おかしいんですよ。

 

涼音ちゃんはめちゃくちゃ努力家やったんですけど、そのせいで病気になってしまったんですよ。


これ以上水泳を続けると命に関わるって、母と顧問が医者から言われるんですよ。


でも本人に言っても絶対納得せえへんからって、顧問が何したと思います?

 

病院に付き添ってくれた彼氏との写真を盗撮して、「彼氏とイチャついてサボってる奴はいらん!!」って言って2人が仲良くしてる盗撮写真をほかの部員もおる場所でバラまいて部活辞めさせたんですよ。


は?


顧問「俺にはその方法しか思いつかなかったんだ…」


は?

 


いや、最終目標の「水泳辞めさせる」は果たしてますけど、結局顧問も母親も、本人に病気のこと伝えてないんですよね。

 

そんな状態なら、水泳辞めてもほかのスポーツ始めるかもしれないじゃないですか。


しかも、彼氏できたから辞めさせられたってことは、下手したら今後、彼氏ともうまくいかなくなったりするおそれもあるじゃないですか。

 

何より、鈴音ちゃんはめっちゃ努力家やのに、この一件で辞めさせられるって、言うたら「一瞬で努力が水の泡」になる経験をしてしまうわけで、そういう経験って、たとえば今後の受験でも、仕事でも、「どうせ一瞬で水の泡になるかも」って思って、努力しなくなるおそれまであると思うんですよね。

 

もっと言えば、ほかの水泳部員も「この部活では恋人できたら辞めさせられる」っていう恐怖心を植え付けられるわけじゃないですか。
高校生やから、ほかにも付き合ってる人おったかもしれんのに、その芽まで積むことになるじゃないですか。


主人公って、生徒たちに何回も「考えろ」って言うんですよね。

 

Let's think.


本質を見極めろ

って。


顧問、ほんまにちゃんと考えたんか?
母親、ほんまにちゃんと考えたんか?
ほんまにそれしか無かったんか?


たしかに、鈴音ちゃんがやろうとしたことは、顧問の将来のこととか、顧問の家族のこととかを全く考えずに、一時的な感情に惑わされてて愚かやとは思いますよ。

 

でも、顧問だって結局、鈴音ちゃんの将来のこと考えずに、一時的に水泳から遠ざけることしか考えてなくて、それがどんだけ心を傷つけるかわかってないし、「考え」が足りてないわけで、
主人公からそれについての言及があるべきやったと思います。

 

ただ、もちろん主人公が怒る理由もわかるんですよね。

この6話に至るまでに、鈴音ちゃんと同じように、一時の感情に惑わされて、先のことを考えずに、誰かを傷つけた生徒たちが散々後悔してるもの見てきたはずなんですよ。

それを散々見た上で、同じようなことをしてしまったから怒ったっていうのもあると思うし、まだ明かされてない主人公の過去とも絡んでくる話かもしれないんですけど、にしても顧問のやったことはないよなあと。

 

いろいろ言ったけど、菅田将暉の演技の迫力もすごかったし、ドラマ自体は面白いですよ。

で、本題の

「相手のことを思った故に変な行動に出て誰かを傷つけるパターン」なんですけど、

 

たとえば、


好きだったA君が急に酷いことを言ってきて悲しむ主人公…

 

と思いきや、

 

A君は不治の病でもう長くはない。だから、酷いことを言って嫌いになってもらおうと思った……。

 

みたいなやつですよ。


は?

 

そういえば、前にkansouさんのブログ(月9ドラマ『好きな人がいること』がベタ過ぎてちゃぶ台ひっくり返した - kansou)読んだときに、このドラマ見てなかったから、まだ平成のドラマでそんな演出あるんかって思ったんですけど、ここに書いてたの本当に共感しかなくて

 

海外行きを応援するためにわざと冷たい態度を取るってお前人間はじめてか?前世トカゲかなんかか?不器用な優しさが逆に心に染みますってか??笑わせんじゃねぇよ。ただ事情説明して「応援してるから」でいいじゃねぇかよ。

 

ほんまにそれ。

応援するため、とか、未練を残さないようにするため、とか、それって本当に相手のためなんですか?

 

結局「話し合って解決」っていう一番王道かつ大切なやり方から逃げてるのが不誠実じゃないですか?

 

と思って、この前録画した「キスマイ超BUSAIKU!?」見てたんですけど。

 

この「キスマイ超BUSAIKU!?」の「キスマイBUSAIKUランキング」コーナーは、「メンバーがテーマにそって自分がカッコイイと思う振る舞いを演じる」ってやつで、それを女性がランキング付けするんですよ。

 

この日のテーマは「この人と過ごしてよかったなぁと思える最高の別れ方」っていうテーマだったんですけど、最下位2人が、完全にこの「相手のことを思った故に変な行動に出て誰かを傷つけるパターン」の演出やったんですよ。

 

同棲していた部屋を出る最後の日っていう設定やったんですけど、

 

6位のメンバーの演出が

「俺との思い出ってなんかある?」って聞いて、旅行行ったとかいろいろ言わせるんですけど「全然覚えてないわ」みたいなこと冷たく言って、最後に思い出の詰まったアルバムをあげて、彼女が「覚えてんじゃん」って言って終わりですよ。


は?

 

最下位のメンバーの演出は、「別れよ」「もう好きじゃないから」みたいなことを冷たく言って出て行くんですけど、そのあと彼女の携帯が鳴って、彼女の母から、主人公から送られたメールが転送されてくるんですよね。

「マイコの海外行きを応援するために〜」「今までお世話になりました」みたいな内容なんですけど…

 は?

 

こいつらマジで話し合うという概念無いんか?

って思うんですよね。

それに対して、ゲストの片瀬那奈がめっちゃいいこと言ってて、

「彼女のために別れるってどうですか?」って聞かれたときに、「エゴじゃない?」「よかれと思って、みたいなことでしょ」って言ってて、全文同意でした。

 

だって、最後の演出で言うと、海外行きを応援したいことをちゃんと伝えて、あなたとなら海外とでも遠距離で応援できるよ、って言ってあげたほうが嬉しい人だっていっぱいいるじゃないですか。

ただでさえ海外っていう新しい環境でやっていくことになるんやから、「応援したい」ってほんまに思うなら、それを支えてあげてもいいじゃないですか。

もちろん、彼女の性格を考えて…っていうのはあると思うんですけど、それでもちゃんと話し合うって一番大事じゃないですか?


私は「逃げるは恥だが役に立つ」のドラマが大好きだったんですが、アレって不満があったときに徹底的に話し合ってたじゃないですか。

もちろん全ての夫婦があんな風に話し合ったりはできないんでしょうけど、でもそういう「相手のためを思って」独りよがりに考えて変な行動するっていうのは無かったと思うんですよ。

 

人間同士で関わって生きていくと、もちろん誤解は生まれるおそれはあると思うんですけど、「相手のことを思って」で済ませるのはよくないですね。

 

私たちには言葉があるんですよ。

意味のわからん行動をする前に、言葉を使って、話し合っていきましょう。