全ての脇役に救いがありますように
2018年の春ドラマが終わり、夏ドラマが始まりました。が、今更ながら春ドラマの感想です。
今期のドラマで見ていたのは
「シグナル」
でした。
シグナルは、基本的に楽しんでたんですが、
前回の「連ドラ座談会」で「刑事モノって最初楽しく見てても最終回近くなると『警察の闇』出してくるのほんま萎えるんですよね…」って言ってたら完全にそうなってしまって多少萎えたりはしました。
コンフィデンスマンJPは一話完結もののため、良さにバラつきがあった感じです。
「家族編」は最高によかった。
好きな回もたくさんあったんですが、最終回はいろいろ不満で、好きな脚本家だったからこそ期待しすぎたのかな…というか感じでした。
結局最終的に1番楽しんでたのが、「花のち晴れ~花男 Next Season~」だったんですね。
※ここから、花のち晴れのドラマ版、および「君に届け」の原作漫画のネタバレがあるので、注意してみてください。
正直期待してなかったんですよ。
私は「花より男子」のドラマは見てたし、その流れで漫画も全巻読んだし、なんなら松潤バージョン以前にこっそり存在してた谷原章介が道明寺司、藤木直人が花沢類の役を務めた映画「花より男子」まで観たんですが、
リメイクが元を超えることって少ないし、自分が大人になったせいで、ぶっ飛んだ設定に胸を熱くすることはないかなって思ってたんですよね。
でも、めちゃくちゃ良かったです。
っていうのも、私は基本的に「判官贔屓」なところがあるので、「負ける」人が好きなんですよね。
逆転劇を見せられても、逆転された側に感情移入して楽しめないタイプです。
この花のち晴れ、1話目からずっと、
どうせ最後にくっつくのは音と晴ってわかっていながら見るやつなんですよね。
あまりに完璧な男である天馬くんも、
晴のことをずっと好きだった愛莉も、
めちゃくちゃいい子のメグリンも、
絶対「負ける」って最初からわかってるんですよね。
それは花より男子のときもそうで、漫画を読み返すと、花沢類だけじゃなく、いろんな男が牧野つくしを好きになっては負けて消えていくんですよね。
だからまあ今回も「こんな完璧な天馬くんが晴に負けるねんな…」などと思いながら見るわけですよね。
花より男子のときは、花沢類にもいろいろ欠点はあったし、元々牧野つくし以外に好きな相手もいたりしたけど、
今回の場合は、
天馬くんと音は幼馴染で、天馬くんのお母さんが亡くなった時も、音の親の会社が倒産して貧乏になったときも一緒に乗り越えてきた相手なんですよね。
天馬くんはお金持ちなだけでなく優しくて自立していて音のことも好きなので、
花沢類のときとは話が違うんですよね。まあでも負けます。
そして、晴のことを昔から好きだった愛莉。
金持ちでわがままでキレたら怖い設定で、最初は晴と音の邪魔をする役で出てきます。
でも結局、音と愛莉は友達関係になって、友達のいなかった愛莉は音の恋愛を応援する側に回ります。
この辺はまあよくあるパターンですけど、あとでこれが効いてきます。
さらに、愛莉のいろいろが終わったあと、モデルのメグリンが登場します。
メグリンは最初はウザい感じですが、めちゃくちゃいい子ってことがどんどんわかってきます。
で、なんやかんやあって、
最終回直前は
音と天馬くん
晴とメグリン
のカップルができます。
でももうこの時点で天馬くんもメグリンも、自分に勝ち目がないことをわかってるんですよね…
結局最終回、なんやかんやでメグリンは振られます。
そこで宇多田ヒカルの「初恋」が流れるんですよね、
最終回でいっちゃんいい曲が流れるタイミングが、
音でも晴でもなく、
メグリンが振られて泣いてる場面だったんですよね。
メグリンの「初恋」が終わるところで、
う~るさいほどに高鳴る胸が柄にもなく竦む足が今~静かに頬を伝う涙が私に知らせるこれが初恋とI need you~
ってなるんですよ。
でも、メグリンにはこの過程で愛莉と友達になるんですね。
愛莉も同じく晴のことが好きでうまくいかなかったから、メグリンの気持ちがわかる。一緒に泣いてあげられる。
(愛莉については、このブログを読んだ方がいい)
そのあとなんやかんやで天馬くんも振られます。ここでは宇多田ヒカルは流れませんが、これで天馬くんの初恋も終わります。
でも、ここでも愛莉が声をかけてあげるんですよね。なんてええ子なんや…
そして、「負けを知ったあなたは強くなる」みたいなメッセージも母から贈られます。
正直、晴と音の恋愛なんかより、
愛莉とメグリンと天馬くんの成長が物語の肝だったんじゃないかと思う。
(原作はそうじゃないっぽいけど)
初恋が成就しなくても、得られるものは多い、みたいなところが良かった。
正直、昔の少女漫画って「主人公と相手役がくっつけばオールオッケー」みたいなことが多くないですか?
でも、私は絶対負ける人を好きになるからモヤモヤして終わる。
少年漫画も、「主人公が敵をぶっ倒してオールオッケー」やと、敵がよっぽど悪いやつじゃない限りモヤモヤする。
でも、それが変わってきた気がする。
主人公と相手役がくっついて終わり、
より一段階マシなのが、
主人公を好きだったけど振られる噛ませ役の男と相手役を好きだった噛ませ役の女が最終回前「あんた意外といいやつじゃん」みたいな感じになって、最終回ではくっつかんものの「まあここはここでうまくいくでしょ」と思わせるパターン。これもけっこう多い気がする。
ただ、噛ませ同士くっつけとくか!っていう感じがしなくもない。まあでも一応これがあるのとないのでは印象がだいぶ違う。
そのもう一段階上が、今回みたいに、
失恋を通じて人間的な成長が描かれるパターンかなと思う。成長や、友情などによって、「この子は今回は残念ながらうまくいかんかったけど、いつか似合う相手が現れるだろう」という希望的観測を抱いて終われる。
これは私が大好きな漫画「君に届け」のパターンです。
君に届けでは、風早くんをずっと好きだったくるみちゃんという女の子、
主人公の友人のあやねちゃんという女の子を好きなケントという男の子、
そしてあやねちゃんも、
本気で人を好きになって本気で振られる。
でもみんなしっかり成長してる。
この成長が見たくて読んでる。
風早と爽子は勝手にくっつくからどうでもいいんです。
ちなみに、くるみちゃんの場合、爽子との友情と、人間的な成長を経て、過去の罪を清算し、爽子と同じ大学へ行くところで物語は終わっている(充分すぎる展開)が、実は続きがある。
別冊マーガレットで、爽子とくるみちゃんが大学に行ってからの話が描かれます。ちゃんとくるみちゃんは幸せになります。
漫画もドラマもよく見てきたけど、
今回花のち晴れを見ながら花より男子の漫画版を同時に読んでて、
昔の漫画より、脇役が丁寧に描かれてるんじゃないかって思った。
自分がそういうのを好きやからかもしれんけど、そういう気がする。
この人生で、たぶん私は主人公になれないけど、せめて脇役として成長したいですね。